FreeBSD 13.1のインストール(1) ハードウェア編

メールの読み書きをしているFreeBSD 10.3Rで運用中のサーバーが3月の終わり頃に不調になって,ネットワークアクセスが不安定になりました。PCのケースを開けて中を見ると埃で埋まっているというような状況でした。とりあえず掃除機で埃を吸い取ってケースの内部を綺麗にして,しばらくの間,ケースのフタをあけたまま運用をしてみました。そうすると,ネットワークアクセスの不安定さはまるで嘘のように消滅してしまいました。

どうやら,埃によってケース内の空気の流れが悪くなり,ネットワークのコントローラチップ(Realtek)が熱くなって異常な動作をするようになったことが原因だったようです。まるで風が吹けば桶屋が儲かるがごとき,因果関係です。

ケース内部のお掃除だけですんだので全然コストもかかっていないのですが,そうはいっても,不調がでてきた,ということは今後いつサーバーが死んでも不思議はない,という意味でもあります。私にしてはめずらしく,こまめに(といっても2, 3ヶ月に1回くらいだけど)バックアップをとっているのでサーバーが死んで再起不能にまで陥ることはないと思いますが,それでも死んだらつらいことにかわりはありません。このサーバーはCeleron J3160 (4 cores, 4 threads) + 16GB memoryを載せたmini-itxのマザーボードにSamsungのSSD 1個とWDの3TB HDDを3個をSATAで接続してraid-z (RAID 5相当のソフトウェアRAID)で運用しています。

このサーバーを用意したのが2016年も暮れようという頃のようですので,既に,5年以上まったくメンテナンスも掃除もしないで使っていた,ということになります。サーバー用のPCでもないのによくも頑張っているものです。どう考えても先は短そうですしOSも3世代も前のものでさすがにいろいろと問題がありそうです。しょうがないので,この機会に新しいPCを用意して移行することにしました。ついでにHDDの容量も増やして今後のデータの増加にも耐えられるようにすることにします。

サーバーとしての負荷はたいして大きくない,というかほとんどゼロなので,省電力のPCで十分です,というか省電力のPCでなければ割にあいません。しかし,現行のCPUにはJ3160のような超省電力(TDP=6W!)なものはみつかりません。半導体不足のせいもあるのかJ3160を直付けしたマザーボードはどこにも見つからないか,見つかったとしてもヤフオクあたりで法外な値段で出ているだけです。しょうがないのでハードウェアから検討をしなおしました。

現行のintelのCPUは既にCore iの第12世代になっています。ソケットもLGA1700などという知らない規格になってます。すっかり,浦島太郎状態です。

Core iシリーズには型番にTがついた省電力タイプのCPUがラインナップされていますが,これもまたなかなか見つかりません。一番遅そうなCore i3-12100Tを注文して1ヶ月ほど待って入手しました。4 cores, 8 threads, ターボブースト時には最大クロックが4.1 GHzまで上がるというのはとてもエントリークラスのi3のCPUとは思えません。しかし,さすがに消費電力はTDP35W相当程度のようでJ3160とは比べるべくもありません。

CPUが決まればあとは適当なマザーボードとメモリを探せばOKです。マザーボードはいまだにPS/2コネクタとVGAコネクタがバックパネルについているASRockのB660M-HDVにしました。mini-ITXではなく,micro ATXです。mini-ITXはあまりにも拡張性が乏しくて,オンボードのネットワークコントローラが死んでしまうとPCIeのネットワークカードをつけることもできません(運用中のサーバーではたったひとつのスロットはSATAの拡張カードに占有されているため)。micro ATXであればPCIeは3スロットはあるし,SATAのオンボードのコネクタも4つついています。そのうえ,M2のコネクタもあるので,M2にSSDを接続すれば4個のHDDを繋いでraid-z2 (RAID6相当)も簡単に実現できます。

メモリの値段は乱高下していますが,安くなるのを待っていても入手しそびれてしまうリスクの方が高いのでとっとと16GB x 2 (Crucial製)を調達しました。5年前はDDR2だったのに,一世代飛び越えてDDR4です。というか,AMDがクロック周波数1GHzを達成した頃に数値計算用に調達したAMDの2 wayのサーバーは1 GBのメモリを16枚積んでそれだけで軽く10万円を超えていたように記憶しているので,32GBのメモリが15,000円もしないで使えるなんて夢のようです。

ケースはそこらへんで遊んでいた(たぶん)今はなきAbeeのAS Enclosure S1Rを使い回すことにしました。micro ATX用の小型ミニタワーのサイズでフルサイズのATXも入る高級ケースというのが発売当時(2007年の初め頃!)の触れ込みでした。確かに,作りはとてもよくていろいろな部分がピタッと合うのは気持ちがよいのですが,無理やりコンパクトにしているためエアフローが厳しいという問題もないでもありません。ただ,サーバー用途であれば,グラフィックカードも不要ですからスペースに余裕ができてエアフローは問題はなさそうです。

それでも,CPUはファンレスというわけにもいかないので,CPUファンも必要です。しかも省電力版の12100Tはバルクのみしか売ってないのでファンも別途調節する必要があります。サイドフローのデカいファンはどう考えてもHDDと干渉するのでトップフローの薄いID-COOLINGのIS-40X-V2にしました。これならケースの中もかなり余裕ができます。どうせ,発熱するような使い方はしないので余裕です。

ケースの前面には吸気用のファンが最初からついていますが,後面には排気用のファンはついていません。以前に使っていた際にはかなりごつい風量の大きいファンをつけて無理やり冷やしていたのですが,さすがに五月蝿いので薄くて静かなファン(XPG VENTO PRO 120 PWM Nidec GentleTyphoon)に交換しました。

電源はSilver Stoneの400Wのファンレス電源が手元に転がっていたのでこれを使おうと思ったのですが,なぜか,この電源ではマザーボードが起動しません。しょうがないので同じく手元で遊んでいたCorsairの850Wのものを投入しました。どう考えても非効率なのですが,他に適当なものが手元になかったので安直に妥協しました。

あと,マザーボードにはシリアルのピンヘッダがついていたので,せっかくなのでバックパネルに取り付けるcomポートのパネルを調達してマザーボードのピンヘッダに接続しました。なんとなくシリアルポートがあると安心する,というそれだけのことです。さらに,オンボードのネットワークカードが死にそうになったという教訓を活かして(?),PCIeスロットに接続する2.5Gbpsのネットワークカードを調達しました。

これまでずっと1 Gbpsの有線ネットワーク(1000baseT)で満足していましたが,気がついたらワイヤレスネットワークがどんどん速くなってWi-Fi 6の11axでは理論値で9.6 Gbpsなどというとてつもなく速い規格が普及し始めています。実際には無線でそんな速さがでるわけない,とは思うのですが,それでもずいぶんと速そうです。有線では10 Gbpsの規格があるものの無線の普及によって有線を使う人がいないためか,値段がまったく下がらず,末端のネットワークの規格としては高価すぎて現実的ではありません。

しかし,最近,2.5 Gbpsの有線ネットワークが少し普及の兆しをみせているようで,Cat5eのケーブルも使えてデバイスも随分安くなってきています。せっかくOSをイチからいれるのであれば,2.5 Gbpsを試してみたい,という欲望がむくむくと湧き上がってきて,これを試してみよう,いや,試さねばならない,と自分を納得させて調達をした,というわけです。これはAmazonで3,500円くらいで売っているメーカー不明のRealtek RTL8125Bを載せたカードを調達しました。ついでに,というかハブがなければちっともうれしくないので,Planexが価格破壊を目指して市場投入したFX2G-08EMとUSB 3.2 Gen1のType Aコネクタの2.5 Gbps対応アダプタ(Alxumとかいう謎のメーカー製)もあわせて調達しました。サーバーだけが速いネットワークアクセスができてもあまりうれしいことはないのですが,安定性などを見る上ではとりあえず試してみるにはこれでよいかな,ということで最低限のお試しセットです。

上記の仕様(Core i3 12100T + 16GBメモリ + 500MB M2 SSD + 6TB HDD x 4 + 2.5 Gbps NIC)でPCを組み立てて起動し,ワットチェッカーで消費電力をみてみると,電源投入時に一瞬100Wほどになりますが,FreeBSDの起動中は55W前後,起動後,落ち着いてクロックが396 MHzまで下がると50W,さらに何も仕事がない状態になってHDDがスリープすると45Wまで消費電力がさがります。J3160にワットチェッカーをつけたことがないので正確な比較はできませんが接続しているUPSが表示する消費電力は60Wあまりなので(他のデバイスも繋がっているためPCの消費電力だけではない),HDDが1台増えていることを考えると12100Tの消費電力が特別多いということはなさそうです。J3160はアイドリング状態でもクロックは480 MHzまでしか下がらないようなので,12100Tはよりきめ細かな省電力化がはかられているようです。

これで,とりあえずはハードウェアが揃ったのであとはOSのインストールをして設定です(これが一番たいへんですが)。

モノラル時代のLP

LPの最初期はステレオ盤は存在しませんでした。新しいメディアとしてSPにかわって登場したLPは気合をいれて作られていたと思われます。しかし再発盤や海外版など多くのバリエーションがあるため,オリジナルがどれか,というのがよくわかりあせん。当然のように,そのオリジナルは何か,を研究している人はたくさんおられて貴重な情報を公開している人もおられます。そんな人のwebページへのリンクを備忘録としてメモしています。

DECCAのモノラル盤の情報といえば,暇な人・・・kitagawaのDECCAいMONOすごいページでしょう。1509種類のうち1483種類が掲載されています。ほとんどコレクターの神様状態です。

DECCAのモノラル盤をまとめたデッカ・サウンド~ザ・モノ・イヤーズ (53CD)<初回生産限定盤>という53枚組のCDもでていたようです。ジャケットなどを確認するのによさそう。

Deutsche Grammophon (DGG)のモノラルの初期盤のジャケットについては,DGG - 5-digits LPs; 18 001-050 LPMで整理されています。

DGGのモノラル盤についても復刻版としてDeutsche-Grammophon - The Mono Era-1948-1957という51枚組のCDがでています。豪華解説書がついているようなので網羅的に情報を得るのには便利そうです。DECCAのCDともども既にディスコンになっているのが残念ですが。

オリジナル盤を扱うレコードショップでレーベルデザインの変遷を解説しているところもあってこれもとても役に立ちます。Barenplatteさんの新LP鑑定法はDGG以外のレーベルについてモノラル盤の情報がないのが残念ですが,詳しい情報が書かれています。またセタガヤレコードさんのクラシックLPのラベル変遷 – 米COLUMBIA篇クラシックLPのラベル変遷 – 英DECCA篇クラシックLPのラベル変遷 – 英HMV/EMI篇もたいへん参考になります。

ものすごくざっくりいうならレーベルごとに以下のような番号のものが初期盤の可能性が高い,ということを頭にいれてレコード屋さんへ行くのがよさそうです。

  • 英Columbia: 33CX
  • HMV: ALP
  • DECCA: LXT
  • DGG: LPM (12 inch), LP (10 inch)