FE 35mm F1.8 (Lens #029)

Sony FE 35mm F1.8 (SEL35F18F)
マウント:Sony E
焦点距離:35mm
開放F値:1.8
絞り羽根:9枚
レンズ構成:9群11枚
最短撮影距離:0.22m
最大撮影倍率:0.24
フィルター径:55mm
質量:280g (カタログ値)

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Sony Eマウントの単焦点レンズとしてはSony Zeissの55mmに続く2本目として導入したSEL35F18Fです。出荷開始は2019年8月の終わり頃でSonyのEマウントレンズが一皮むけた以降のレンズで,2018年以降にリリースされたレンズはハズレがほとんどなく,実際にこのレンズも不満が思いつきません。寄れる,明るい,軽い,小さい,という欲張り仕様でありながら,最近のレンズにしてはまぁまぁ安価な単焦点で準広角の万能レンズという素敵っぷりです。

SonyのフルサイズのFEレンズのなかでは数少ない無印レンズです。同じ無印でも50mm F1.8 (SEL50F18F)はAFがかなり残念な感じというもっぱらの評判ですが,SEL35F18Fは85mm F1.8 (SEL85F18)と同様に評判がよいようです。レンズ鏡筒にはフォーカスホールドボタンとAF/MF切り替えスイッチがついています。無印レンズなのにGレンズっぽい贅沢仕様です。しかも,無印のおかげか,Sony Zeissの55mmよりも新品価格は安価です。

中央部の解像度は十分すぎるほどシャープですが,周辺には色々な収差が残っているようです。jpeg撮ってだしの実写では自動補正がかかっているのでほとんど気になりませんが,細かな話をしようとすると,周辺部の画質の大幅な劣化が気になる人はいるのかもしれません。

あまりにも普通に写って面白みがない,というコメントをネットでちらほら見かけたりしますが,面白いレンズが欲しくてこのレンズを導入する,という人はなにか方向を間違っているのではないか,と思ってしまいます。開放でフワフワでハロがまとわりつき,逆光ではハレーションとゴーストが盛大に出る「面白い」レンズが欲しいのであれば,一昔前のレンズに山ほど候補がありますし,価格も二束三文です。がっつり普通に写るレンズになんの不満があるんだ,と問いただしたい気分です。

寄れる35mmというのは使いでがあるので仕事用にちょうどよかろうということで,新しいレンズなのに中古を物色して入手しました。新型コロナウィルスのために本業で写真を撮る機会がなくなってしまい,そうかと言って放っておいてはカメラの使い方から忘れてしまいそうなので,ときどき連れ出して使うようにしています。やはり,寄れるレンズは無敵で,非常に使い勝手のよいレンズです。
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このレンズによる作例をこちらに置いています。よろしかったらご覧ください。

Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA (Lens #028)

Carl Zeiss Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA (SEL55F18Z)
マウント:Sony E
焦点距離:55mm
開放F値:1.8
絞り羽根:9枚
レンズ構成:5群7枚
最短撮影距離:0.5m
最大撮影倍率:0.14
フィルター径:49mm
質量:281g (カタログ値)

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動物瞳AFが使ってみたくてSonyのa7iiiを入手しました。それ以前からa7sを古いMFレンズの母艦として使っていましたが,Eマウント用AFレンズは1本も持っていませんでした。動物瞳AFを使うためにはAFのレンズがなくてはなりません(当たり前)。なので,28-70mmレンズがついたレンズキットの中古α7iiiをヤフオクで調達しました。

動いている犬でもちゃんと瞳を追いかけるのはさすが,ですし,28-70mmは悪くもないのですが,よいというわけでもなくて,結局,Sony ZeissのSonnar T* FE 55mm F1.8 ZAをこれまた中古で買ってしまいました。欲は再現がありません。

SEL55F18Zは最初のフルサイズミラーレスであるα7とα7Rと共に発表された5本のレンズのなかの1本で,2013年12月に発売されました。フルサイズセンサーを積んだα7シリーズのキットレンズであるSEL2870と同世代ということになり,現時点からみるとかなり古いレンズになってしまいました。しかし,AFも写りもそんなに古臭くはなく,いまだに,第一線で戦えるレンズだと思います。

レンズ構成をみるとどこがSonnarなのかよくわからん感じはします。かの有名なベルテレが発明したSonnarは3枚貼り合わせレンズがあってこそのSonnarだという思い込みがあるので,SEL55F18Zのレンズ構成図を見てもSonnarという感じはまったくしません。たんにSonnarという名前を使っただけなんじゃないか,という気もしますが,何をもってSonnarと名付けたのかは知る由もありません。

開放から解像度が高くて,ボケも綺麗,というもっぱらの評判で,実際その通りです。日頃,古いMFレンズばかりつかているので,さすがに現代的なレンズなんだ,ということを改めて思いました。SEL55F18Zが発売された時には,一部で,解像度番長,と言う人もいたようですが,現在ではもっともっと解像感が高いレンズが数多くリリースされているため,SEL55F18Zの解像感は特筆すべきことではなくなったように思います。個人的にはSEL55F18Zは十分すぎるほどの解像度のレンズだと思います。

SEL55F18Zで撮った画だけみているとあまりなんとも思いませんが,他のレンズから吐き出された画と比較してみると,SEL55F18Zはやたらと色が濃くてこってりした画に感じられます。レンジファインダー機のContax時代のContax CマウントのオールドZeissのレンズはもっとさらっとしていたように感じるのですが,世代を重ねて新しいシステムになるにつれて濃いというかねっとりとした雰囲気に変わっていくように感じられます。その最初の兆候はたぶん,Zeiss IconのContarexで少し見られ,Yashica (というか富岡光学)が生産した一眼レフのContaxではその傾向が強まり,Zeissのレンズは濃厚というイメーッジも定着したのかもしれません。最近のCosina Zeissは使ったことがないのでどういう感じなのかわかりませんが,Sony Zeissはヤシカ/京セラのContax/Yashicaマウント時代のZeissレンズのイメージを継承しているように思われます。

ただ,個人的には,どちらかというと,さらっとした感じのオールドZeissが好みです。しかしその一方で,このこってりした現代風味のZeissもこれはこれで捨てがたいと思う自分もいるのです。それにしても我ながらなんとも我儘なヤツです。
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このレンズによる作例をこちらに置いています。よろしかったらご覧ください。

FE 24-105mm F4 G OSS (Lens #027)

Sony FE 24-105mm F4G OSS (SEL24105G)
マウント:Sony E
焦点距離:24-105mm
開放F値:4
絞り羽根:9枚
レンズ構成:14群17枚
最短撮影距離:0.38m
最大撮影倍率:0.31
フィルター径:77mm
質量:663g (カタログ値)

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Sony Eマウントの標準ズームレンズSEL24105Gです。ILCE-7M3をヤフオク!から調達するときに全然レンズがないのは悲しいと思って,28-70mmのキットレンズ( FE 28-70mm F3.5-5.6 OSS; SEL2870 )つきのものを選びました。なので,フルサイズのEマウントのズームレンズとしては2本目のレンズです。

SEL24105Gは2017年11月にの発売されました。フルサイズミラーレスのα7が発売されたのが2013年ですからメーカーでもフルサイズミラーレス用レンズの設計に手慣れてきてGMレンズのような高性能レンズもいくつかリリースされた後に登場した標準域で4倍の便利ズームです。寄れる,小型軽量,そこそこ明るいF4通し,広角端24mm,望遠端105mmという便利なズーム域,シャープで使い勝手がよい,ということで発売後長らく新品の入手に時間がかかるほどの人気レンズだったようです。現時点で発売から3年半が経過していますが,中古価格が暴落することがなく高値安定を維持しているところをみると,よほど人気のあるレンズなのでしょう。

普通にjpeg撮って出しで旅行の写真を撮るといった場合にはまったく問題がないレンズですが,このレンズは自動補正を前提としているという特徴があります。レンズの素のままでは歪曲は非常に大きく,かつ周辺減光も非常に大きなレンズです。しかし,歪曲は大きな樽型なので歪曲を補正すると四隅は自動的に画面の外になって捨てられます。歪曲の補正をした状態でスペック通りの画角が得られるようになっているので,特に大きな問題はない,という考え方です。昔の一眼レフのような光学ファインダーでこのレンズを通して見るとおそらく,歪曲が大きい上にどこまでトリミングされるかもわからず,まともに写真を撮ることができないと思われます。しかし,電子ビューファインダーであれば,歪曲などを自動補正した画像がファインダーに表示されますから見たままに撮影できます。ミラーレス一眼によって光学ファインダーがなくなりEVFになったことで,電子補正前提のレンズでも問題なく撮絵できるようになった,ということです。今後はこのような自動補正前提のレンズがますます増えるのかもしれません。

しかし,歪曲が大きくそれを補正する,ということは,隅のほうの画像はそれなりに伸ばしたり縮めたりしていることになります。伸ばした部分は当然,解像度が劣化します。普通のレンズは中央部で高い解像度があっても,周辺部は解像度が下がるのが普通ですが,それに加えて電子補正を加えることで解像度が下がるということになります。もちろん,光学系で歪曲を無理に補正しないことで素の解像度を高くして,歪曲補正後に解像度が大幅に落ちないようにする,という設計も考えられますので,種々のトレードオフを考慮した結果,SEL24105Gはこのような仕様になったのでしょう。

光学的に可能な限り補正する,というのはもちろん理想的ではありますが,大きさ,重さなど様々な条件下で様々な組み合わせのトレードオフがありますから,そのなかで,何を重視するか,というポイントを決めてそれを達成するためにこのような新しい考え方のレンズが出てくる,ということはたいへん興味深いことです。

個人的には,キットレンズのFE 28-70mm F3.5-5.6 OSSは悪いレンズだとは思わないのですが,広角端が28mmということだけで完全に萎えてしまって,使う気になりません。そんなわけでちょっと気合を入れてSEL24105Gを導入しました。コンパクトなズームレンズと言っていますが,これは比較の問題であって,実際のところフィルター径77mmのレンズは十分に大きいしそれなりの重さがあります。普段は古くて小さな標準レンズばかり使っているので,こういう立派なレンズにはある種の違和感を感じてしまうのは,たんなる貧乏性なのかもしれません。
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このレンズによる作例をこちらに置いています。よろしかったらご覧ください。