レンジファインダーカメラ用広角レンズの補正

フルサイズのミラーレスカメラが登場して,過去のレンズをなんでもつけることができるようになりました。しかし,レンジファインダーカメラ用の広角レンズはバックフォーカスが短く,物理的にミラーレスカメラに取り付けることができても,センサーのテレセントリック特性によって周辺部分の画像が大きく乱れることがあります。フィルムの時代は光線が斜めに入射しても大きな問題はなかったのですが,デジタルのセンサーは斜めから光線が入射すると感度が悪かったり色かぶりが発生したりするのです。レンジファインダーカメラ用の広角レンズはバックフォーカスが短いためセンサーのテレセントリック特性が特に問題になります。

この問題はセンサーの感度,というかテレセントリック特性によるところが大きいようで,高解像度で高感度耐性がないセンサーほど周辺部の画像が乱れます。

Sony α7シリーズはオールドレンズの母艦としてとてもよいカメラですが,ここの情報によると高解像度タイプの初代α7R (ILCE-7R)は最悪,解像度を落として高感度耐性を高めたα7s (ILCE-7S), α7s II (ILCE-7SM2)はまぁまぁ,裏面照射型センサーを採用した高解像度タイプのα7R II (ILCE-7RM2)もまぁまぁよい,ということのようです。無印α7 (ILCE-7)や無印α7 II (ILCE-7M2)はその中間ということなのでしょう。α7の第三世代であるα7 III (ILCE-7M3)やα7R III (ILCE-7RM3)も裏面照射型センサーになって高感度耐性が高いためα7R II (ILCE-7RM2)と同程度かそれよりもよいものと考えられます。

α7シリーズはレンジファインダー機用の広角レンズで撮ると周辺部分がマゼンタかぶりするとともに周辺光量が大幅に落ちます。これは上のような事情によるものですが,それとは別に周辺部の画像が大きく流れる,歪曲も非常に大きいという問題もあります。例えば京セラがだしていたContax Gシリーズ用のBiogon G 28mm F2.8は対称型のBiogonタイプの由緒正しいレンズで歪曲も小さく周辺まできっちり写るレンズとして知られていたはずです。ところがこれをα7シリーズにつけて撮ると周辺が大きく流れて,かつ歪曲も大きいようなのです。

この原因はセンサーの前に置かれているガラスフィルタである,ということです。ミラーレス一眼の光と影ミラーレスカメラ+広角レンズの画質改善,さらに,ミラーレスカメラ+広角レンズの画質改善 その2にレイトレーシングによるシミュレーションをして詳しい考察がされています。

結論を言ってしまえばセンサー前のガラスフィルターによって湾曲が発生し周辺部で画像が流れているが,それを打ち消すように正の歪曲をもつレンズを追加すれば良い,ということです。対象とするレンズにもよりますが,どうやら,焦点距離1500mm前後のレンズ平凸レンズをレンズ先端につければよさそうです。こちら
でいくつかのレンズについて検証されていますが,Contax G用Biogon 21mm F2.8ではf=1500mmのレンズ,Contax G用Planar 45mm F2ではf=5000mmのレンズがよいとのことです。

焦点距離が1500mmや5000mmというとディオプタがそれぞれ0.667, 0.2のクローズアップレンズということになります。非常に「弱い」クローズアップレンズは望遠レンズ用のものがいくつか販売されていたようですが今はほとんど入手できません。調べてみるとこういうレンズの情報を集めている人がいるようで一覧表に整理したpdfファイルを作っている人がいます。

ミラーレスカメラ+広角レンズの画質改善によれば,ディオプタが0.7前後のレンズでもレンズのタイプによっては過剰補正にならずにうまく補正できるものもあるようです。先のpdfの情報もあわせてみてみるとこのような目的に使えそうなクローズアップレンズで中古で入手できそうなものには以下のものがありそうです(一覧表に整理したpdfファイルをもとに抽出,追加,整理)。









































メーカー商品名サイズ[mm]ディオプター焦点距離[mm]アクロマートレンズ刻印
PentaxAttachment lens670.25?4000??attachment lens 1:3.5/85~210mm
Zenza Bronica670.286?3500?Close-up Lens for NIKKOR 200mm
Minolta720.3333000Yesclose-up lens for md 100-500 mm f8
PentaxT226670.4422260Yessmc close-up lens t226
TamronClose-Up Adaptor Lens for 28-200mm/F3.8-5.6720.52000Noclose-up adaptor lens for 28-200
KenkoMC Close up lens no.05720.52000Nomc close up no.05
Tokina720.52000Notokina mc .05 close-up 72mm
PentaxT18352/580.5461830?smc close-up lens t183
PentaxT16049/520.6251600?smc close-up lens t160
NikonClose-up Attachment No.0520.71428Nonikon close-up.c no.0
LeicaElpro type 4550.751333Yeselpro 4
PentaxT132670.7581320Yessmc close-up lens t132

MC W.ROKKOR 24mm F2.8

MINOLTA MC W.ROKKOR 1:2.8 f=24mm
マウント:SR
焦点距離:24mm
開放F値:2.8
絞り羽根:6枚
レンズ構成:7群9枚
最短撮影距離:0.3m
フィルター径:55mm
質量:273.78g (実測値)

MC W.ROKKOR 24mm F2.8

1973年ころに発売されたレトロフォーカスタイプの広角レンズです。初期にはレンズ銘板にMINOLTA MC W.ROKKOR-SI 1:2.8 f=24mmと書かれていてレンズ構成(S=7群,I=9枚)が示されているタイプのものがあるようです。このレンズはLEICA ELMARIT-R 24mm f2.8の原型と言われているようで,実際,似たようなレンズ構成です。ライカとミノルタの蜜月時代にリリースされているのでなんとなく尤もらしい話です。ただ,ここに詳しく述べられている通り,第一群の径が異なっていたり,コーティングの違いに伴って設計が微妙に違うようです。また,鏡筒のフローティング構造は大きく異なっているようですので,光学系の基本設計のみが共通なのかもしれません。このレンズ構成は1977年発売のMDタイプの初期型まで継続し,その後の最後のモデル(?)ではレンズが1枚少なくなっているようです。

上の写真ではかすかに緑色に輝くミノルタレンズのコーティングの特徴たるアクロマティックコーティング(AC)の色がわかります。レンズ構成などについてはここに詳しく述べられているのでわざわざ書く必要もないくらいです。

フローティング構造のおかげか,かなり寄れますし,寄ってもちゃんと写ります。

個人的にはこの24mmという画角は結構好きで,なんでもかんでも,それこそ自分のつま先まで写ってしまう20mmのように極端にあちらこちらに気を使うことなく超広角気分で遠近感を強調した絵になるのが気に入っています。今となっては24mmはたんなる標準ズームの広角端にすぎませんが,このミノルタのMC W.ROKKOR 24mm F2.8の時代は立派な超広角でしたし,難しい画角にもかかわらず,シャープで超広角気分を盛り上げてくれる楽しいレンズで結構,気に入っています。

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このレンズによる作例をこちらにおいています。よろしかったらご覧ください。