MC ROKKOR-PG 58mm F1.2 (Lens #010)

MINOLTA MC ROKKOR-PG 1:1.2 f=58mm (前期型 - II)
マウント:SR
焦点距離:58mm
開放F値:1.2
絞り羽根:8枚
レンズ構成:5群7枚
最短撮影距離:0.6m
フィルター径:55mm
質量:469.09g (実測値)

MC ROKKOR-PG 58mm F1.2

1968年に登場した大口径標準レンズです。最初のバージョン(前期型-I)では距離環のローレットがフラットでしたが,翌1969年にはローレットの形状に凹凸がある形状(前期型-II)になっています。その後,1973年には距離環の滑り止めがラバー巻きになったモデルに置きかわります(後期型)。このレンズの歴史や特徴はここに詳しく述べられていますので,それ以上,私がとやかくいうようなことはありません。とはいえ,こちらを参考にして簡単にまとめておきます。

おそらくこのレンズがでた当時は国内のカメラメーカーが大口径競争をやっていたのではないかと思われます。日本のメーカーは一つのわかりやすいスペック(数字)を高めることに血道をあげる傾向があって,ひととき熾烈な競争をやって,しばらくすると飽きてしまって見向きもしない,というわけのわからんところがあります。

レンズのラインナップに大口径レンズはあったほうがよいに決まっているので各社ともそれぞれ力を入れて開発していたことは間違いないと思います。緑のロッコールの通り名のとおり,アクロマティックコーティング(AC)によって見る角度によってはレンズが緑色に輝いて見えます。焦点距離は少し長めの58mmで大口径化の代償として最短撮影距離は60cmであまり寄ることができません。時代を考えればしょうがないのだと思います。

ロッコールレンズはなぜかたいていのレンズが叩き売り状態ですが,さすがにこのレンズは人気があってそれなりによい値がついています。もちろん,ロッコールレンズとしては,という注釈付きですが。富岡銘の入ったF1.2の標準レンズに比べれば相場はずっと安価です。

この個体は前期型-IIです。ヤフオク!で高くもなく安くもない価格で入手しました。ややくたびれた感じはありますが,実用的には特に問題はありません。

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このレンズによる作例をこちらにおいています。よろしかったらご覧ください。

M-ROKKOR-QF 40mm F2 (Lens #009)

MINOLTA M-ROKKOR-QF 1:2 f=40mm (前期型)
マウント:Leica M
焦点距離:40mm
開放F値:2
絞り羽根:10枚
レンズ構成:4群6枚
最短撮影距離:0.8m
フィルター径:40.5mm
質量:120.19g (実測値)

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1973年にライツミノルタCL用の標準レンズとして登場したレンズです(前期型)。日本ではM-ROKKOR銘で,それ以外の国ではLeica Summicron-C銘でした。両者はほぼ同じものだと考えてよいと思いますが,ガラス硝材が日本製かドイツ製かといった違いがある,という話もありますが私にはそこらへんはよくわかりません。M-ROKKORはロッコールレンズの慣例にしたがって,最初のうちはレンズ構成(4群6枚)を表すQFがレンズ銘板に示されていましたが途中からQFの表示がなくなります。これは他のロッコールレンズ(MC ROKKOR)と同様の扱いだったのでしょう。QFの表示が消えても光学的には全く違いはなかったようです。

その後,1981年にミノルタCLEが発売されますがそれとともに標準レンズもリニューアルされます(後期型)。ミノルタCLEは小型なだけでなくレンジファインダー機で自動露出が使える,という画期的なモデルでしたが,ライツ社はそれを潔しとせず,CLのときのようにダブルネームでの販売を認めなかったようです。後期型は前期型とレンズ銘は同じですが,銘板上の表示からシリアルナンバーが消えていたり,ピントリングレバーの形状が少し単純化されていたりするので前期型とはすぐに区別ができます。レンズ構成はおそらく変わっていなくていずれも典型的なダブルガウス型だと思いますが,後期型で少し改良されている,という話もどこかに出ていました。実際のところはわかりません。

また,距離計連動用のカム(写真では後玉側に見える真鍮色の部分)が前期型ではCLに特有の傾斜カムであったのに対して,後期型では普通の平行カムとなっています。前期型を普通のライカMマウントカメラに取り付けると無限遠で誤差がでる,ということでライカMマウントカメラは前期型は非推奨レンズというか,CL専用レンズという扱いのようです。後期型は一般的な平行カムなのでそのような問題はありません。

前期型の純正のフードはラバー製のものだったようですが,現在ではすでにちぎれていて用をなさないものが多くて,自分で適当なフードを調達する方が手っ取り早そうです。

ヤフオクでは前期型も後期型もしょっちゅう出品されている,という印象ですが,前期型のうちレンズ構成の表示(-QF)がついている個体はそれほど頻繁に出てくるわけでもないようです。ロッコールレンズにはレンズ構成がついているほうが格好いいと個人的には思っているので,前期型でQFの表示があるものを入手しました。

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このレンズによる作例をこちらにおいています。よろしかったらご覧ください。

KONICA HEXANON ARマウントレンズ リアキャップ

正月早々なにをやってるんだ,という話なのですが,最近,手元にKONICA HEXANON ARレンズが増えてきたのに伴って困ったことがでてきました。

ヤフオク!などで調達するとたいていの場合,リアキャップがついていません。ARマウントレンズのリアキャップはなぜか入手が難しく,ミノルタのSRマウントレンズのように中華製の安価なリアキャップが市場に出回っていないのです。たまに純正品やサードパーティーのリアキャップがヤフオク!やeBayに出回ることがありますが,ちょっとなぁ,という値段で購入には二の足を踏んでしまいます。ジャンクで調達してきたレンズよりも高い値段のリアキャップというのはなんとなく納得できないのです。レンズ本体の調達費用が高い場合はある程度は許容できる部分もあるのですが,キャップがレンズ本体より高いというのはちょっと受け入れにくいということです。

いろいろ調べてみるとARレンズのリアキャップで困っている人はいるようで,代替品についての情報がネット上に流れていたりします。ARマウントの形状はニコンFマウントと物理的には同じだけれどもフランジバックが大きく異なる,だからニコンのカメラにARマウントレンズを物理的に取り付けることが可能だという話があります。ただし,私はニコンのカメラを持っていないので確認したことはありません。いや,持っていたとしても外れなくなったりしたら恐ろしいので実験する勇気はありません。これが事実なら,等z戦ニコンFマウントレンズのリアキャップをARレンズにも使えるはずです。しかし,ニコンFマウント用リアキャップよりもオリンパスのOMマウントレンズのリアキャップのほうがよりフィットする,という話も見かけました。

というわけで,中野の某有名ジャンク屋に行ったついでに,というか,全然ついでじゃなくてこれが目的で出かけて行ってレンズのリアキャップをいろいろ買い漁って試してみました。どうせ一個100円なので使えなくても腹が立つこともありません(たまに300円のとかがあるので悔しいかもしれません)。うまくいけば儲けもの,というくらいの話です。なお,中野まで行く電車賃を考えれば割高でも純正品の中古を素直に探したほうが安い,という声は私には聞こえません。

一応はネットに転がっている種々の事前情報に基づいてニコンFとオリンパスOMのリアキャップをターゲットにしてみました。とはいえ,そんなになんでもかんでも試したわけではないのであくまでもできる範囲でやったことにすぎません。試した結果は下の写真の通りです。

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手元にある6本のARマウントレンズに中野のジャンク屋で調達してきたリアキャップを取り付けた様子です。いずれも実用には問題のないレベルできちんと固定されています。左上と真ん中上の2本はある意味貴重な純正品です。

右上はいきなりオリンパスでもニコンでもなくてシグマのリアキャップです。FOR SA/KPRと刻印されています。シグマのSAマウントはペンタックスのKマウントとある程度の物理的な互換性があるようで,シグマではどちらのレンズにも使えるような共通のキャップをつけているようです。でもって,これがARレンズにうまくフィットします。しかしペンタックスKマウント用の純正品はARマウントにはうまく使えないので,SAとPKのどちらにも使えるように少し形状が異なるのかもしれません。調べればわかる話ですが,面倒なので調べていません。基本的にはくっつけばOKというスタンスなので深掘りはしない方向です。

次は下側のレンズ。左下はタムロンのリアキャップですが,シールに書かれている通り,オリンパス用です。もちろん現在のmicro four thrids (m4/3)ではなく,遠い昔のOM用です。このキャップは非常に具合が良くて,無理なく,かつきっちりとARレンズに固定されるのでよい感じです。オリンパス用ならよいのか,というと,なぜか,オリンパスの純正品ではうまく使えません。どうも,キャップの深さがタムロンのものは純正品に比べて深いことでうまく使えるようです。

下の真ん中と右下はいずれもシグマのリアキャップです。下の真ん中はOMIと刻印されていておそらくオリンパスOM用だと思われます。これもタムロンのものと同様によい具合です。右下はKFと刻印されています。ペンタックスKマウント用のようですが,Fの意味はよくわかりません。ひょっとしたらニコンFマウント用と兼用なのでしょうか。これも真面目に調べるのも面倒なので調べてません。やればすぐわかるような話なのですけれど。ニコンFの純正品はこれもうまくフィットしませんでした。一応,ARマウントレンズにも使えそうだったのですが,バヨネットを回転させても固定が甘くて運搬中にリアキャップが外れてしまいそうな感じでしたので却下しました。

いずれにしても,ARマウントレンズのリアキャップとして実用上問題なく使えるものがいくつかあることはわかりました。オリンパスOM,ペンタックスKあたりがよさそうで,ニコンFはダメではないですがイマイチです。しかもどういうわけか純正品ではなくシグマやタムロンというレンズメーカー製のものがよいという不思議な結果になりました。レンズメーカーはいろいろな意味で懐が深い,のでしょうか。

あと,お約束ですが,万一ここに書いてあることを真似してなんらかの損害を受けるようなことがあっても筆者は責任をとりませんのであくまでも自己責任でお試しください。