ちょっと古いコンデジ比較(その1)

これまで使っていたデジカメはPanasonicのLumix DMC-ZX1でした。小さくて軽くて広角から望遠までカバーできてそれなりに便利だったのです。しかし,さすがに古い機種のため(まさかの2009年発売でした),センサーの感度が悪く,ちょっと暗いところで写すとそれはそれは酷い絵で泣けてくる代物でした。デジタルな機械を8年も使っているなんて,本当に物持ちがよい,と思いますが,どう考えても今時のスマホのほうがマシな絵を出しそうです。

しかし,スマホで写真を撮る,という習慣がないので(スマホを持ってないから),当然,買い替えるとするとやはりカメラを買うしかありません。大きな一眼レフとかミラーレスはお仕事用でいろいろ取り揃えているのですが,小さいコンデジはこのZX1を使い続けていました。お仕事用に何年か前に買ったCanonのPowerShot G7Xも大きなセンサーでよいカメラだと思うのですが,コンデジとしては大きくて重いのでお仕事以外で持ち歩く気にはなりません。

それならば同じCanonのPowerShot G9X Mark IIがあるじゃないか,ということになるのですが,確かに,センサーが大きいのに小さくて軽くて気楽に持って歩けそうです。しかし,広角側も望遠側もなんか中途半端な画角です。似たような画角のSonyの初代RX100がいまだに売られていて,かつ,お安く売られていることを考えるとちょっとG9X Mk2のお値段は萎えます。小さくて軽いことにどれだけ価値を見いだすか,なのですが。

広角が必要というならCasioのEX-ZR4000という選択肢もあります。広角オタクとしては19mmからの広角はほかにはない魅力であることは間違いありません。しかし,なんか売り方が自分撮り大好きなギャル向けみたいな感じでいまひとつその気にならないのです。ちょうど後継機のZR4100が出るタイミングで値下がりをしていたのでお買い物のタイミングとしては悪くなかったのですが,結局,踏み切れませんでした。

というわけで,ちょっと古い機種も含めて調べてみたところ,センサーサイズは1インチほどは大きくないけれども1/1.7インチよりは微妙に大きいというFujifilmのXQ2に行き当たりました。重さも大きさもG9Xと同じくらいで広角側が25 mmからというのも素敵そうです。

XQ2は2015年2月発売なのに2016年の夏頃には二束三文で叩き売られていてあっという間にディスコンになっています。今頃になってむしろ値段が上がってきているようでなんか皮肉です。実物を触る機会もないので実物を見ないままに手を出すかどうかで多少逡巡したのですが,ヤフオクでそこそこの中古がでたときにサクッと落札してしまいました。まぁ,安くもないけど高くもないのでダメならダメでギリギリあきらめがつくくらいの金額でした。

というわけで(何が?),手元で使えるコンデジ比較をやってみることにしました。

まずは3台並べて記念写真。
birdsview_3.jpg
手前からPnasonicのLumix DMC-ZX1, , FujifilmのXQ2, CanonのPowerShot G7Xです。奥へいくほど大きくなってます。

次にこれらのスペックを並べてみます。

 Lumix DMC-ZX1PowerShot G7XFujifilm XQ2
発売時期
2009年8月21日2014年10月3日2015年2月26日
開放絞り値F3.5〜5.9F1.8〜2.8F1.8〜4.9
焦点距離4.5〜36 mm8.8〜36.8 mm6.4〜25.6 mm
焦点距離(35mm換算)25〜200 mm24〜100 mm25〜100 mm
ズーム倍率8倍4.2倍4倍
有効画素数1210万2020万1210万
撮像素子1/2.33型CCD1.0型CMOS2/3型X-Trans CMOS II
フィルター原色フィルター原色フィルター
外形寸法
W97.8 x H54.6
  x D26.0 mm
W103.0 x H60.4
  x D40.4 mm
W100 x H58.5
  x D33.3 mm
質量 (本体のみ/撮影状態)138g / 160g279g / 304g187g / 206g
初値(価格.com)3万円くらい?64,928円43,249円

こうやって手元の3台を並べてみると,なんだかどれも既に古くなってしまった感があります。それにしてもZX1は実に軽くて小さいということがわかります。最近はこういう感じのコンデジの王道を行くような機種はスマホにおされて完全に市場から一掃されてしまいました。とはいえ,XQ2はかなり健闘しています。コンデジの値段が暴落しているなかでよく頑張っていたんだなぁ,と思います。

大きさを比較してみると,こんな感じ。まず,前面。背景の大きなマス目は5cmです。
front.jpg

次に上面。
top.jpg

最後に背面です。液晶モニターに指紋がいっぱいついていてみっともないですが,見なかったことにして。
back.jpg

写りについては,後日あらためて。




小説・吉田茂ー戦後復興に賭けたワンマン宰相

大下英治の「小説・吉田茂ー戦後復興に賭けたワンマン宰相 」を読みました。

吉田茂という人物を中心に戦前戦後の詳しい歴史が書かれていて非常に興味深いものでした。今をときめく阿呆な政治家の親世代,あるいはその親たちが戦後の日本をどのように考え,どのように引っ張ろうとしたかも垣間見えます。吉田茂の帝王学というか,ボスとしての責任をとる態度には,今の政治家と大きな違いを感じます。

なぜ,今の政治がこんなにダメなのかも深く考えさせてくれます。

小説・吉田茂―戦後復興に賭けたワンマン宰相 (講談社文庫) -
小説・吉田茂―戦後復興に賭けたワンマン宰相 (講談社文庫) -

ネガフィルムのデジタル化

昔,ネガやポジで撮影した写真をデジタル化して,プレゼンテーションなどで使いたいことがあります。特に昔の地震の後で行った調査の写真などを使いたいことがあるのです。写真撮影当時,現像とともにプリントもしているので,そのプリントをスキャンして使う,ということでたいていの場合はOKなのですが,大きなポスターに写真を貼付けたい場合,L版プリントのスキャンでは解像度が足りなくてちょっとみっともない,ということがあります。

ネガから直接デジタル化する方法として,フィルムスキャナを使うのはまっとうな方法ですが,最近は,まとうなフィルムスキャナそのものが市場から消えてしまいました。安い安直なフィルムスキャナは市場にありますがあまり質の良くないCCDカメラでフィルムを撮影しているだけ,というものばかりで手間ひまかけてデジタル化しても,結果にいまひとつ満足できそうにありません。どうせ,CCDカメラを使うなら普通のカメラを使えばいいじゃないか,って話になって,手持ちの一眼レフを使えばよほどましなものができそうです。

というわけでやってみました。

用意したものは以下のものです。
フルサイズセンサーの一眼レフカメラ:Pentax K-1
接写レンズ:Pentax-D FA macro 50mm F2.8
ステップアップリング:49mm --> 52mm
フィルム保持:Nikon スライドコピーアダプター ES-1

ES-1はスライド用フレームにマウントしたポジフィルムをコピーすることを目的としたものですので,スリーブのフィルムを使うことは想定されていません。ES-1は軽いバネでスライドフレームを保持するようになっているので,スリーブを直接挟むとフィルムに傷がついてしまいそうです。そこで,安直に,お菓子の箱を適当に切って保護用に二つ折りにしてその間にフィルムを通して,ES-1に取り付けました。

お菓子の箱の紙の厚さを適当に選ぶと,ちょうどよい固定強度が得られます。まぁ,あまり神経質になるようなものでもありませんが。

フィルムをES-1に装着したら,あとはシャッターを押すだけです。オートフォーカスでもマニュアルフォーカスでも特に問題なくピントはきます。日中であれば,カメラのホワイトバランスは自動のままで空のほうにレンズを向けてシャッターを切るだけです。

とても簡単です。こんな感じのものが撮れます(縮小しています)。
nega.jpg

次に,これをまともな色にもどさねばなりません。WindowsならPhotoshopでやるのでしょうけれど,FreeBSDなどというマニアックなOSにしがみついているので当然,Photoshopは使えません。poorman's Photoshopとでも呼ぶべき(?),フリーソフトのGimpを使ってデータを加工します。

Gimpを使ってネガポジ反転する方法は,ここの情報を参考にさせていただきました。これもとても簡単にできます。

以下はその手順を簡単に並べたものです。
1. メニューから「色」-->「階調の反転」を選ぶと色が反転します。
2. 青く色香ぶりしているので,これを正常な色にします。「色」--> 「レベル」と選んで,右下にあるスポイトのアイコンをクリック。
3. スポイトのアイコンは右から白,灰色,黒に対応しています。
4. まず黒のスポイトのアイコンをクリックします。
5. 画像のなかで,黒に対応するところを黒のスポイトで選びます。すると,色が変わります。ネガのフレームが映り込んでいればその部分を選ぶのが簡単かつ単純で間違いがありません。
6. 次に白のスポイトのアイコンをクリック。
7. 画像の中で白に対応するところを白のスポイトで選びます。サンプルの場合は,電柱に貼付けてある住所表示の文字が白いのでこれを選択しました。
8. 右下のOKをクリック。
9. 余計な部分をトリミングしてファイルを保存。

これで出来上がりです。とても簡単です。
kobe_nada.jpg
この画像も縮小しているのでオリジナルとは異なりますが,オリジナルではフィルムの粒子も見えるくらいの解像度でしたから,十分な分解能でコピーできていることがわかります。

ポイントは,レベル調整の際に白と黒の場所を適切に示してやることです。そうしないと,へんちくりんな絵になってしまいます。サンプルの写真は1995年兵庫県南部地震の後で調査に行ったときのものです。

レベル調整に少し難しさはありますが,それでもこれの方法はとても便利です。もうちょっと試して効率よくフィルムのデジタルコピーができるようにしてみようと云う気になってきました。