Rspberry PiにI2Sで直結したDACがMoode 3.1で動くことがわかったので,次はお約束の音がどんなのか,ということに興味が移ります。
結論から言うと,全然,不満がない音だと思います。
いや,不満というのは何を持って不満とするか,ということに依存するので,かなり個人的な気持ちの持ちようではあります。まったく同じ環境で比較をすることはできませんし,どこを比較するか,でもいろいろ感じ方は異なります。あくまでも参考程度に。
比較したのは以下の3つのシステムです。
System 1.
Voyage MPD (alix 2D13) --> SOtM dX-USB HD (DDC) --> Apogee Rosetta 200 --XLR--> soulnote sa 1.0 --> AKG K550
System 2.
Voyage MPD (alix 2D13) --> SOtM dX-USB HD (DDC) --> Apogee Rosetta 200 --AES/EBU--> tascam DA-3000 --RCA--> soulnote sa 1.0 --> AKG K550
System 3.
Raspberry Pi 2B + I2S DAC --RCA--> soulnote sa 1.0 --> AKG K550
出力は安直にヘッドホンで,ヘッドホンアンプから先はいずれも同じです。sa 1.0にはsystem 1から順番にXLR, line 1, line 2とつないでいるので,入力を切り替えれば音の比較は簡単にできます。なお,Rosetta 200とDA-3000には
GPS DO 10MHz --> Antelope OCX
として,外部クロックが入力されています。ですので,Rosetta 200とDA-3000は正しく同期されているはずです。GPS DOは
ebayで安く売られているもので,中古のOCXOとubloxのGPSエンジンを組み合わせて,ケースと基板は中国で作られたであろう代物です。1ppsと10MHzの正弦波を出力できて,HPのZ3805と比較すると短期のアラン分散はそれなりに悪いことが(相対的に)推察されますが,位相ノイズがそんなにひどい,というわけでもありません。
DACとしては,System 1がいちばん高価であることになりますが,ADCでもあるので,DACの値段,というのはよくわかりません(不毛な話だし...)。System 2のDA-3000にいたってはDACのほかにADC,レコーダまでついているのですから,もう値段なんてなにがなんだかわかりません。しかも,外部クロックまで突っ込んでるし。
はっきり言うと,K550ではあまり音の違いがわかりません。どれもK550の音がします。敢えていうならばSystem 1のRosetta 200は音が濃くて芯のある音であるのに対して,System 3のI2S DACはさらっとしたすっきりした感じがします。System 2のDA-3000はその中間でしょうか。可もなく不可もなく,です。
K550では役不足かと思って,BeyerdynamicのT90に変えてみました。このヘッドホンだと,3つのシステムの音の違いはもう少し明確になります。音の違いの方向性がはっきりする,という感じです。I2S DACはすっきりしているけれどもDA-3000に比べてもっと実在感というか,芯があるようです。DA-3000は少し薄い感じがします。そんなに大きな違いではありません。Rosetta 200はしっかりした芯があるだけでなく,広がり感や奥行きを感じさせます。ヘッドホンで聞いていれば,どうせ,頭内定位していて広がりとかそういうのは感じにくいはずなのですが,それでも,比較してみるとぱっと音場が広がるような感覚があります。
SOtMのDDCはこれまでいろいろ試してきた範囲では,はっきり言って性能はイマイチというのが私の中で定着しているので,これがRosetta 200やDA-3000の足を引っ張っているのかもしれません。よく耳をすませると44.1kHzでさえもプチノイズが入ることがあります。デジタル信号の同期がうまくいっていない可能性もあるので,フェアな比較ではないかも知れません。外部クロックをいれてなかったら,まるでダメなのかもしれません。逆に,I2Sで直結というのはそれなりにメリットがあるということでもあるのでしょう。
はっきり言って,普通に聞く分には,I2S DACは十分な性能だと思います。たんに私が駄耳であるだけかもしれませんが,これで十分ハッピーならそのほうがよいに決まっています。あら探しをしても不幸なだけです。むしろ,デジタル信号を機器をこえて引っ張り回すことによる同期の難しさを感じることになってしまいました。