小説十八史略

塩野七生の「ローマ人の物語」をグダグダと一年以上かけて読んでいるときに中国史もおもしろいよ,と職場の先輩に教えてもらったので,ローマ人の物語を読み終わってから読んでみました。神話の時代が終わった秦の始皇帝からモンゴル民族による元までを一気呵成に6冊で読ませてしまうので各時代の描写はどうしても薄くなってしまいます。しかし,それでも中国の歴史の概略を知るにはとても楽しく読めて勉強になります。元のあとは明,清,中華民国,中華人民共和国と続きますから,もうついこの前までの歴史が網羅されているような錯覚を持ってしまいます。

そもそも,中国は文明が早い時期に確立していますから,歴史が長いので,元,明,清というとなんだかついこの前のような気がしますが,元が中国全土を統治する時期は鎌倉時代とだいたい同じですから,日本の歴史と比較すると随分と昔です。時代の感じ方は歴史の長さと親密度によって随分違う,とまったくつまらぬところに感心をしてしまいます。

いずれにしてもこういう読みやすい歴史本は電車のなかで読むにはとてもよいですし,そもそも,長編は次に読む本を考える手間が省けて便利だったりします。やっぱり,何か本質を外しています。うーむ。
小説十八史略(一) (講談社文庫) -
小説十八史略(一) (講談社文庫) -
小説十八史略 文庫 全6巻 完結セット (講談社文庫―中国歴史シリーズ) -
小説十八史略 文庫 全6巻 完結セット (講談社文庫―中国歴史シリーズ) -

勇気凛々ルリの色

およそアホみたいなエッセイですが,言っていることはまっとうだと思うことが多く,ついつい引き込まれてしまいます。浅田次郎の作品は極道から中国近代史,日本近代史など方向がてんでバラバラでまる脈略がなくて,その幅の広さに圧倒されます。このエッセイを読んだらその秘密がわかるかというと,そういうことはまったくありません。ますますハチャメチャです。でも,まぁ,そういうヒトなのでしょう。

けっこう前の作品ですが,社会に対する感じ方は私にとっては今の感覚ともよくあっていました。私が鈍いだけか,浅田次郎が鋭いのかよくわかりませんが。
勇気凛凛ルリの色 (講談社文庫) -
勇気凛凛ルリの色 (講談社文庫) -
勇気凛凛ルリの色 四十肩と恋愛 (講談社文庫) -
勇気凛凛ルリの色 四十肩と恋愛 (講談社文庫) -
勇気凛凛ルリの色 福音について (講談社文庫) -
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勇気凛凛ルリの色 満天の星 (講談社文庫) -
勇気凛凛ルリの色 満天の星 (講談社文庫) -

新・所得倍増論

勉強がとても好きな友人にこれを読め、と言われたので遅ればせながら読んでみました。日本の生産効率は世界で27位、先進国中最低でイタリアにも及ばない、というのはそこまでひどいとは思っていなかったものの、私自身の肌感覚とよくあっているように思いました。

実際、何が目的かわからん内向きの仕事ばかりしているのはたぶん、私自身の職場だけではないはずで、日本全国で似たり寄ったりだろうと思えば至極もっともな指摘です。ただ、内部留保を減らして投資を増やして効率を高める、という著者の提案はまっとうですが、たぶん、日本の経営者にはもっとも苦手なことでしょうから、たとえその必然性が理解されても実践までにはさらにもう一段階の困難が伴うことと思います。

いろいろと考えさせられました。
デービッド・アトキンソン 新・所得倍増論 -
デービッド・アトキンソン 新・所得倍増論 -