久しぶりの録音

最近,さすがに忙しすぎてとてもこんなところに書き込みをしている暇などなかったのですが,先週の週末は珍しくプライベートに時間を使いました。娘が,某所(都内からはとてもとても遠いところ)でアマオケに呼んでもらってコンチェルトを弾く,という本番があったのです。そのために,やれオケの人に挨拶をするだの,犬を預けに行くだの,じいちゃんばあちゃんを連れて行くだのと色々と地味に活躍をせざるを得なかった,というわけです。

で,ついでに,といってはナンなのですが,まぁ,録音と録画もやってみました。さすがに本番中にマイクスタンドを舞台の前にたてるってわけにも行かないので,二階席の最前列の真ん中をとりあえず占領してやってみました。

結果は,隣に座っていたガキが3分ももたずにごそごそやりはじめて,そのごそごそやっている音がとても鮮明にとれて素晴らしい録音でした。靴で床をカタカタ叩く音,靴紐 (の代わりのマジックテープ)をべりべりはがしたり貼付けたりする音,ジャンパーをごそごそ動かす衣擦れの音,みんなばっちり録音できました。まぁ,アマオケの場合,お友達に無理矢理来てもらったりするので,観客にいろいろな人がいるのはしょうがないのですが,まったく注意しない親って何なんだろう,と別のところに感心しました。

さすがに,途中といってもほとんど終わる頃ですが,こちらの辛抱が切れたので,親が寝ているスキにグーを握って目を見て睨みつけてみたら相当ビビったみたいで,そのあとは,ごそごそはじめても,ちょっと目を向けるだけでおとなしくなりました。最初からかましておけばよかったとちょっと後悔しました。でも,普通,それって親の仕事じゃないかと思うんだけど,子供の行為に理解のある親,というつもりなのでしょうか。マナーを叩き込むのは親のつとめだと思いますが,なんか勘違いしているように思います。そんなのが大学に入ってくるのだから,そりゃぁ,まともなわけがありません。

いつもの録音セットだと大掛かりになってしまうので,今回は,わざわざRode NT-4なぞというステレオマイクを調達して,Sound Device 702で176.4k/24bitで録音しつつ,そのライン出力をCanon EOS Mに入れて録画する,という技を使ってみました。最近の一眼カメラは動画もきれいにとれてよいのですが,ラインで音声を入れられて,かつ,アッテネータでゲインを落としてラインレベルを入れられてマニュアルで録音レベルを設定できる,というのはたぶんCanonだけしかないように思います。EOS Mは仕事用なのでこういう用途はまったく想定外でした。使い方を習熟する,という大義名分で仕事用を借りてきたわけですが,本業における業務よりも活躍してしまったかもしれません。

702はトーン信号を突っ込めるので1kHz/12dBに設定してEOS Mに入れて録音レベルが同じく12dBになるように調整してしまえばカメラ 側で信号レベルが見えなくても702のレベルメータさえ見ておけば音の方はOKということになります。702でリミッタを設定しておけばとりあえず録音レベルがオーバーするということも避けられます。

702はさすが,プロダクション用の録音機だけあって,なかなかかゆいところに手が届く機能がついています。トーン信号なんて何に使うんだろう,などと思ってましたがめっちゃ便利です。動画なんて撮ろうと思ったことがなかったので702の便利なところを随分と使っていなかったことに今更ながら気がつきました。

NT-4はいつものように(?)ヤフオクで安く仕入れたのですが,なぜかステレオミニケーブルとクリップが欠品という謎の状態でした。だから安かったわけですけど。本体の直径が32mmもあって,並のクリップではつかむことができませんので,しょうがなくサスペンションホルダーを調達しました。Rodeの専用品は5000円もして高くてアホらしいので,eBayで500円くらいのものを香港から取り寄せました。ところが,なぜか郵便事故で届かず,返金扱いになってしまいました。安い代わりに時間がかかるので(送料がタダの代わりに船便らしい),eBayはあきらめてヤフオクで中国製のものを1000円あまりで売っているのを見つけて取り寄せました(結局オークションか,という突っ込みはナシで...)。500円ケチるよりやっぱり日本国内発送は確実に届いて気持ちがよいものです。

このサスペンションホルダーをカメラシューアダプタを介してカメラの上に載せようと思ったのですが,マイクが重すぎてどうもアンバランスです。そこで,ステレオカメラ用のバーとカメラネジから5/8 inchのマイクネジへの変換ネジを調達してきて,サスペンションホルダーをカメラの横に取り付けてみました。

音をモニターするにはいつもSonyのMDR-CD900stを使っているのですが,演奏会の客席でヘッドホンをかけていたら,こいつは何聞きにきているんだ,と思われそう(というか,絶対思われる)なので,見かけ上,控えめにモニターできて,かつ音漏れがしないイヤホンを探しました。で,ごちゃごちゃいわずに(本当は悩みまくって) Shure SE535などを調達してしまいました。もちろん,新品なんて買えないので中古です。耳の中に突っ込んでしまえば目立たないし,マイクの拾った音をイヤホンで聞いていても,イヤホンをはずして聞いてもリアルタイムでは音の違いがわからんくらいにまっとうな音のイヤホンでした。

なんか,ひたすら無駄遣いを続けているような気がしますが,まぁ,娘のため,という大義名分というか言い訳ができるので気持ちよく浪費をしてしまいました。

というわけで,万全の準備で本番に臨んだわけですが,NT-4は抜群の感度で,感度が良すぎて,結果的には,隣に座っているガキのごそごそする音ばっかり録音してしまった,というわけです。サスペンションホルダーを使っていたので床を踏む振動をダイレクトに拾わなかったのが救いでした。もし,普通のクリップを使っていたらかなり悲惨なことになっていたと思います。高性能ってのも善し悪しですが,性能は悪いよりは良い方がよいに決まっています。ノイズもいっぱい拾いましたが,肝心の音楽もそれなりには拾ってくれました。

2階席の一番前,という舞台からかなり遠い場所なので,間接音がやたら多くてクリアな録音は望めませんし,そもそも,X-Y型のステレオマイクでは,ほとんどモノラル録音みたいになってしまいました。もちろん,モノラルとは違って左右の広がりはありすぎるほどあるのですが,奥行きとか定位とかそういうものは望むべくもありません。聞こえている通りに録れているといえば確かにその通りではありますが,商業録音のようなものとはまったく異質のものです。ホールの三点吊りからラインでわけてもらう,ということも可能だったのかもしれませんが,それだと,カメラにラインで送れないのと,自分だけで完結する方が簡単なのでこれはこれでしょうがない,というところです。

それにしても,702のイルミネーションやLEDって無駄にまぶしくて,ホールのような暗いところで使うにはちょっと,というかかなり問題がありますが,これはこれで嫌いではなかったりします。
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